農業への取組み

ミタニホールディングス株式会社では、食品企業としての社会的責務を果たすべく、食の根幹である農業を重要な事業領域の一つと位置付けています。
2015年より高知県四万十町および高知市に自社試験農場を開設し、野菜・果樹など多品目の試験栽培を実施してまいりました。これらの活動は、単なる生産試験にとどまらず、土壌分析・栽培履歴管理・収量データ解析など、農業生産の最適化を目的とした実証的取り組みでもあります。
2019年春、自社での直接的な栽培活動はいったん休止いたしましたが、これまで蓄積した知見とネットワークを基盤に、県内外の生産者との協業や、新規作物導入支援、農業資材・加工技術の提供を通じ、地域農業の持続的発展に貢献し続けています。
特に、高知県が抱える後継者不足や物流コスト高騰といった構造的課題に対しては、生産・加工・流通の垂直統合モデルの構築を推進し、現場課題の解決を図っています。
産学連携

またミタニホールディングスでは大学・農業高校との産学連携にも注力しています。
2017年には神戸大学にベビーキウイの苗木を提供し、兵庫県での特産化を目指した試験栽培を開始しました。
ベビーキウイはビタミンCや食物繊維を豊富に含み、耐寒性・耐病性にも優れた果樹であり、将来的には高知県内の農家への導入も視野に入れています。
2018年には大学と協働で地域素材を活用した製品を開発し、一般販売やふるさと納税品として商品化しました。
2024年にも新しく地域素材を活用したパン製品を開発。こうした活動は、地域ブランドの創出と農業所得向上に直結する取り組みとして評価されています。

昆虫食(間接的昆虫食)による農畜産支援
近年、国際連合食糧農業機関(FAO)が提唱する「間接的昆虫食」が世界的に注目されています。これは、昆虫を家畜や養魚の飼料原料として活用することで、環境負荷低減と食糧資源循環を同時に達成するアプローチです。昆虫は高タンパク・高ミネラルでありながら、同等のたんぱく質を得るために必要な飼料・水・土地面積が従来の畜産動物に比べて著しく少ないことが知られています。また、温室効果ガス排出量が低く、畜産業の環境負荷軽減に寄与することから、サステナブルな食糧供給モデルとして期待されています。
当社では2017年より、ヒト食用として安全性が確認されたコオロギ粉末を輸入し、その栄養特性・加工適性・嗜好性などの評価を行ってきました。
その後、研究の一環として、家畜(特に鶏・豚)用の配合飼料にコオロギ粉末を添加し、成長速度・飼料効率(FCR)・肉質への影響などを実証試験しています。
この取り組みは、単に代替タンパク資源の供給にとどまらず、国産昆虫由来原料の安定供給体制の構築や飼料自給率の向上にも資するものです。
2020年夏からは兵庫県立播磨農業高校と共同で、家畜飼育現場における昆虫飼料の実証研究を開始しました。
さらに2022年度には兵庫県立農業高校と連携し、ヒメウズラを対象にコオロギ粉末の飼料添加による卵質改善や栄養成分変動の調査を行いました。その結果、卵黄中の必須アミノ酸含有量や脂質プロファイルに一定の改善傾向が認められ、付加価値型畜産物の創出可能性が示されました。
今後の展望
ミタニHDは、農業と昆虫食研究の双方を融合し、「地域資源循環型の食糧システム」の構築を目指しています。今後は、地域農産物と組み合わせた複合飼料の開発、さらに低環境負荷型畜産の確立に向けた学術連携を一層強化していきます。
加えて、これらの研究成果を農業現場や食品加工業界に還元し、地域経済活性化と地球規模の食糧安全保障の両立を図ります。
私たちは、農業を単なる一次産業としてではなく、食と健康、環境、経済をつなぐ総合的な社会インフラと捉えています。その発展と持続可能性のため、研究開発から地域実装まで、全工程に責任を持って取り組んでまいります。
